HAICSセミナー「オランダの感染対策・・・概念と実践」を聴いて [感染制御]
去る1/18 NTT関東病院のカンファレンスルームで、HAICS主催「オランダの感染対策・・・概念と実践」を聴講し、約2時間半有意義な時間を過ごした。
Thea Daha(テア・ダーハ)さんは、オランダICP協会の会長でありこの分野の草分け的存在。北欧諸国やオランダは、MRSAによる感染対策が進んでいる。これには理由がある。
まず歴史的な取り組み方の違いである。「Search&Destroy」としてAST(Active screening test)が奏功している点、隔離予防策が「Strict Isolation」である点が主としていえる。
しかしながら、1%未満の感染率であるオランダよりも、もっと常在化している英国や米国における対策の方がより身近な問題として捉えやすいのではないかということで、英米の例も示された。
また、家畜に対する抗菌薬の投与が多いため、食物連鎖を通じて耐性化が促されている可能性が高いとのこと。順天堂の平松教授の説を裏付けるような結果になっている。
尚、積極的監視テストを行う際に、5カ所をスワブするのだが、一本のスワブで行うとのこと。陰性であればそれで終わり、陽性なら個別にやるらしい。
その講義の後、順天堂大学の網中さんからライデン大学MCでの一日ICP体験のレポートがあり、最後に亀田総合病院の岩田先生からお話があった。
オランダではMRSA以外の耐性菌も少ないが、その理由は「考え方」であり、そちらが参考になるのではないかとのこと。
・オランダでは、治療についての最終判断は患者の責任において行われている
・その判断に必要な、徹底的な情報提供がなされる(RIVMという組織)。
・医療監査のインスペクターは、その道のプロが行い、
・医療監視の目的は、コンサルティングと行政への進言である。
・予防接種は全て無料で、人口カバー率95%以上。(WHOのVSNetworkにも参加)
・感染症発生の届け出は、紙でなく電話やメールでも可で、すぐに対策がとられる。
こうした「考え方」の部分で、充分に見習う余地があると結ばれた。
確かに・・・。
いやぁ岩田先生の話は特にとても良かった。
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