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ヒトパピローマウイルス感染と子宮頸がん [医療]

先日、国立がんセンター中央病院院長主催講演会を拝聴してきましたのでサマリーを記載します。



子宮頸がん
疾患
「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」にできるがん



性交経験がある女性なら誰でもなる可能性のある病気
がんによる死亡原因の第3位、女性特有のがんの中では乳がんに次いで第2位を占めており、特に20代から30代の女性においては、発症するすべてのがんの中で第1位
初期にはほとんど無症状だが、性行時出血など症状が出ると既に進行している場合が多い



原因は、ヒトパピローマウイルス感染です。



罹患率と死亡率 我が国では15,000人が罹患し、3,500人が亡くなられている。



世界では、約2分に1人が死亡、日本では1日に10人の女性が死亡している。



ほとんどが初感染から無症候で、10数年かけてがんが進行する。



予防するためには、早期発見早期治療とワクチン接種が重要。



実際の検診の流れ(5分程度)



初潮年齢や生理の様子、妊娠・出産の経験の有無、月経の状況、自覚症状の有無、などについて問診。
内診台にあがり、子宮頸部の状態を目でみて確認(視診)し、腟鏡で子宮頸部の状態を観察。
内診では、子宮の形、大きさ、位置、表面の状態、炎症の有無などを確認。
必要に応じて精密検査(コルポスコピー診*)で子宮頸部の状態を詳しく確認。
やわらかいヘラやブラシのようなものを膣に挿入し、子宮頸部の粘膜を軽くなでるように採取する(PAPテスト)。まれに少しの出血があることはありますが、痛みはほとんどない。
細胞診の結果を含めておよそ2週間ほどで検査結果がわかる。



政府は昨秋、子宮頸がん検診の無料クーポン券を配布した。



ワクチン
世界100カ国以上で使用されている。
日本では、2009年10月に承認され、同年12月22日から一般医療施設で接種可能となった。→しかし任意
ただし、がんを治療したり、既に感染しているのを排除することはできない。
GSK社製Cervarix 16,18に98%有効、31,33,45にも交差反応あり



ハラルド・ツア・ハウゼン博士
子宮頸がんの原因ウイルスの発見者が2008年度ノーベル生理学医学賞を受賞
HPV(ヒトパピローマウイルス)が発見されたのは1983年。
これにより、女性のがんとして世界では2番目に多い
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスの一種が子宮
頸部に感染することにより発症することが明らかになった。
この、「子宮頸がんを引き起こすパピローマウイルス」を
発見した独がん研究センターの
ハラルド・ツア・ハウゼン名誉教授には、
2008年度ノーベル生理学医学賞が授与された。
この研究成果をもとに予防ワクチンが開発され、
現在、世界100カ国以上で使われている。



ワクチン接種年齢
初性交前に接種することが重要で、先進各国では、11歳前後から公費負担で開始している。
12歳で接種することで、死亡数を73.2%減少させることができ、190億円のコスト効果が得られる(数学モデルから推定)
11歳~14歳の公費負担と、15歳~45歳までにも何らかの支援による接種を、3学会(日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本婦人科腫瘍学会)、4団体(子宮頸がん征圧をめざす専門家会議、子宮頸がんを考える市民の会、ティール&ホワイトリボンプロジェクト、日本対がん協会)が求めている。



おわりに
子宮頸がんは、既に予防可能ながんである。
しかし、正しい認識や知識がまだ行き渡らず、検診受診率も24%程度といわれている。
早期に公費負担でのワクチン接種が実現できるように働きかけるとともに、啓発活動を様々な形で進める必要がある。



参考URL
子宮頸がんゼロプロジェクト
http://www.cczeropro.jp/
子宮頸がん講座
http://www.cczeropro.jp/kenshin/index.html
子宮頸がん情報サイト(GSK)
http://allwomen.jp/



公費負担に賛同される方は電子署名を
http://hpv.umin.jp/


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