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第5回病院感染と消毒のセミナー参加 [感染制御]

第5回病院感染と消毒のセミナーに参加してきました。



吉田製薬(株)が主催する、同セミナーを聴講してきました。
当日、会場の都市センターホールは満席で、いつもながら感心の高さを感じました。



Ys2008







プログラムは以下の通り
13:10 ワードケアローションのPR
13:30 Y's seminar2008 開会のことば 東京医療保健大学学長 小林 寛伊
13:40 基調講演 感染制御における最近の動き 東京医療保健大学教授 大久保 憲
14:20 特別講演 多剤耐性菌の医療施設内伝播予防策 東京逓信病院院長 木村 哲
15:00 コーヒーブレイク
15:20 教育講演 ICNにおける感染対策実務の紹介 ~看護ケアにおけるエビデンスを探すには~ 兵庫医療大学看護学部講師 土田 敏恵
16:00 教育講演 消毒薬の適正使用 山口大学医学部附属病院 薬剤部 准教授 尾家 重治
16:40 パネルディスカション Q&A
17:50 総括・閉会



Personalサマリー(個人的なメモを元にサマります)



小林先生からは、WHOからのホットな報告として、アフリカ南部ザンビアでのアレノウイルスによる感染の伝播による医療従事者の罹患死亡についてのレポートがあったという話から始まり、クロストリジウム・ディフィシレや米国でのPVL-MRSAの市井感染の増加についての話題提供がありました。
また、トリインフルエンザのパキスタンでのヒト-ヒト感染に関連して、微粒子ウイルスの浮遊時間が予想以上に長いという研究報告がAJICになされており、空気感染予防策の対象の見直しも考えられるかもしれないというお話がありました。



大久保先生からは、豊富なわかりやすい資料を用いて、新型インフルエンザへの対応、マスクの性能と使い分け、ホルマリン規制、CJDプリオンの不活化、医療器材を介した感染などについて以下の点を中心に解説いただきました。
・咳エチケット(くしゃみや咳の時手やティシュで口を覆う、ティシュは捨てる、手を消毒または洗う、マスクをする)の重要性
・実験結果によるマスクの性能比較により、市販のマスクでも飛沫を飛ばさない目的であれば充分に機能を果たすこと
・ホルムアルデヒド規制(2008年3月1日施行)特定化学物質等障害予防規則(特化則)の変更により、第三類→第二類になり取り扱いが厳しくなった
・CJDプリオンには孤発性・遺伝性・医原性・変異性がある。2008/9/12に厚生労働省より「プリオン病感染予防ガイドライン2008年版要約」についての周知徹底依頼が課長通知として出ていること
・採血器具の使い回しの禁止や、点滴・注射液の衛生管理の基本について



木村先生からは、多剤耐性菌の医療施設内の感染に関して、特にMDRP(多剤耐性緑膿菌)が検出された時、まず何をすべきか、どのように介入していくべきかなどについて、事例シミュレーション形式で講義いただきました。保菌していても無症状なこの菌は知らぬ間に伝播していることもあるため、以下のような対策が急務となる。
・普段の標準予防策の徹底
・検出された場合の迅速な接触感染予防策の徹底
・ルートの推測と重点管理(便座、便器、尿器、気管吸引操作などから手指を介した伝播経路)
・保菌者のコホーティング
普段から、適切な清掃、消毒、抗菌薬使用などを管理する必要がある。



土田先生からは、ご自身の約一年間にわたる院内サーベイランスの取り組みと成果、ものの見方についてご講演いただきました。
サーベイランス・データの看護ケアでの活かし方として、
・血管内留置カテーテルについては、その刺入部位と管理方法(消毒・ドレッシング貼付方法、スキンケア等)の対策を考案実施して効果を上げた。
・膀胱留置カテーテルについて、陰部洗浄をはじめとする看護ケアが感染予防に寄与することや、高齢者では尿混濁や発熱だけでなく尿試験紙による定期的な評価(尿白血球数・亜硝酸塩)が必要であること
・文献検討をする際、看護ケアに関してはサンプルサイズ、実験や疫学評価の妥当性を考慮して読まないと、単にp値だけで判断できないことを示して頂いた。これは勉強になる。



尾家先生からは、消毒薬の適正使用について、ご自身の実験結果に基づいてわかりやすくご説明いただいた。
いつもながら、かわいいイラストで良かったです。
環境清拭はアルコールを用いるべきであること、高水準消毒薬は取り扱いに充分に注意が必要であり、その発生ガスも金属腐食性があるので充分な換気システムがあるところで使用しないと、周辺の金属まで腐食することや、呼吸器症状など人体にも影響があることなど重要なお話が聴けました。



パネルディスカションでは、4名の先生方への質問が会場にあらかじめ配布された質問シートに基づいてなされ、多数の質問にスピーディに回答されました。



会場のみなさんの疑問点も明確になった良い機会だったと思います。
いつもながら、このセミナーの充実ぶりには頭が下がります。
吉田製薬(株)さんは、その圧倒的な情報量と情報の質で抜きんでていると、私は個人的に感じております。
これからも、有用な情報をご提供いただければと思います。[E:good]


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