SSブログ

第46回 感染・免疫懇話会 講演会 [感染症・感染制御]

以下MLに、医療従事者向け情報掲載がありましたのでお知らせします。当日ですが。
 第46回 感染・免疫懇話会 講演会 
  早いもので、4月29日の礪波の焼肉チェーン店での病原大腸菌O111による4名の死亡事故は、もう忘れ去られようとしています。しか し、 この 事件のあとすぐに山形での団子屋でのO157による食中毒も発生しました。また先週は、ドイツでスペインから輸入されたキュ ウリが原因で「腸管出血性大腸菌O104」で10人がHUSで死亡と言うのが流れました。砺波での4人に続いて、ドイツで10人の死亡で す。腸管出血性大 腸菌(竹田先生は、「病原大腸菌」という言葉には色々な思い入れがあるようで、今回は、ここでは「腸管出血性大腸菌」を使います。)は、いつ も念 頭に置かねばならない感染症のようです。今回、感染研の所長をお辞めになってから、研究の足場をインドのコルカタ(旧、カルカッタ)にうつされて 5年の、この菌の本邦、否、世界における第一人者、竹田美文先生が、たまたま来日される折に、葛飾区医師会の当会でお話いただけるのは大 変幸 いな ことだと言えましょう。先生をお呼びするにあたって沢山の先生の御本を読みましたが、その中で、誰にでも薦めたい本がありました。2008年にア イカムから出た『感染症半世紀』(ISBN 9784900960152)と言う本です。科学映画会社のアイカムが、その職員をインタビュアーにして10話にまとめた対話集ですが、僕は「細菌学の 「週刊実話」」と喧伝してあるいています。時間の関係で、今回の講演会に出ることが出来ない方や予習をしてから出席したい方には、絶対お 勧め で す。当講演会はどなたでも参加できます。参加費は無料です。多くの方のご参加をお待ちしております。今回も、いつものように、会費制で講演会後の 講師を囲んでの食事会も予定しています。(文責 松永) 
                                       感染・免疫懇話集談会 連絡先 電話3604-2101    
世話人:松永貞一 遠藤啓一郎 鈴木健一 松岡洋一郎 浅野正直 宍倉章浩 角田由理 吉川昌一 (順不同)
腸管出血性大腸菌 過去・現在・未来
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・特任教授
岡山大学インド感染症共同研究センター・センター長竹田美文
平成23年5月31日 火曜 午後8時~
会場 葛飾区医師会館 3階 講堂
東京都葛飾区立石5-15-12 電話 3691-8536
 大腸菌はそもそも健康なヒトの大腸内の常在細菌の一種である。ところが、ある種の大腸菌が下痢の原因となることは、既に1920年代か ら報 告さ れている。1940年代の半ば頃、イギリスの乳児院で相次いで大腸菌による下痢が報告された時、原因となる大腸菌が、当時デンマークの Kauffmannが研究していた血清型のうちのO55とO111に限られることがわかり、下痢を起こす大腸菌と特定の血清型に関連があ ると 考え られた。 現在、下痢の原因となる大腸菌には、腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌、腸管凝集性大腸菌の5種 類が あ る。それぞれ独立した種類の下痢原因菌である。下痢発症に関与する菌側の因子が異なり、当然当該遺伝子が異なり、結果としての臨床症状も異なる。 これらの大腸菌それぞれは、少数の特定の血清型に限定されていない。 わが国では、この5種類の下痢を起こす大腸菌をまとめて「病原性大腸菌」と呼ぶ行政用語が、そのまま一般に通用している。そのため、腸 管出 血性 大腸菌のことを「病原性大腸菌O157」、「病原性大腸菌O111」、あるいは単に「O157」、「O111」などと呼んでいるが、間違った、紛 らわしい呼称である。5種類をまとめて呼ぶ必要があるならば、「下痢原性大腸菌」と呼ぶべきである。 腸管出血性大腸菌は、「志賀毒素=Vero毒素を産生する大腸菌」と定義する。志賀毒素は、本来志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)が産生する毒素で、志賀潔が赤痢菌を1887年に発見した当初から記載している。志賀赤痢菌による赤痢(疫痢)の重症度は、昭和 20-30年代の小児科の現場をご存知の臨床医には説明の必要がない。朝感染した幼児が夕べには死ぬことが珍しくなかったという。少し誇 張し た表 現になるが、かつての赤痢(疫痢)が腸管出血性大腸菌感染症として現代に蘇ったと考える。 腸管出血性大腸菌のおおもとは牛の腸管である。牛糞を介しての牛肉等の食材の汚染を防ぐことを徹底することが必要である。 腸管出血性大腸菌に感染して下痢を発症した患者の1%はHUSで死亡するという推定報告がある。わが国の年間の腸管出血性大腸菌感染症 患者 数 は、年間3,000~4,000人である。毎年30~40人が死亡していることになる。 予防法は「生肉を食べない」に尽きる。
日本医師会生涯教育制度・・・2単位 5カリキュラムコード カリキュラムコード 11,12,17, 19, 84
感染・免疫懇話集談会/葛飾区医師会
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。