感染症学会で印象に残ったのは(2) [感染制御]
感染症学会で印象に残った一つは、MRSAの監視培養についてのこと。
オランダや北欧でMRSA対策がものすごく進んでいる理由のひとつは、MRSA感染が届け出制になっていることや"search and destroy"戦略がとられていることだといわれてます。
そのdetectの手法として、入院患者全員の鼻腔スメアを行って保菌の有無を確認した上で、除菌してから入院するなどの徹底した管理を行うことです。
日本ではそこまでのことはしなくても、衛生観念の浸透のせいか、標準予防策や接触感染予防策がきちんとされているのか、保菌だけでは問題視せず、感染時の対策をしっかりとやるようです。
米国においては、2007年1月30日にSHEAとAPICの合同所信声明で、MRSAとVREの院内感染伝播防止のための積極的監視培養の、一部の州における法制化の動きに対してposition statementが公開されました。
HICPACガイドラインにおいては、その対象をハイリスク患者とし、SHEAガイドラインではその伝播防止効果を有用と認めた上で、その他の重要な介入と併せて行う必要があることを強調していました。
CA-MRSAが問題となる米国、PVL-MRSAなどが問題となりつつある欧州の一部では院内への持込をいかに最小限に食い止めてコントロールするかが感染制御の水際策のポイントのようです。
日本では、老人保健施設や個宅での介護などdetectがなされていない市中から病院への持込が問題となるので、ハイリスク患者に対する有効なコントロール策として、検討されていくでしょう。
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